「人を殺すさ、お前は俺の―――」
蒼い悪魔は無慈悲に言い放った。
古都は静寂と闇で覆われた。
「ゼルシアー、お腹減った」
「はやい!ついさっき食ったろ!」
ベッドの上でじたばたと、するカムイを見ながらゼルシアは嘆息した。
情報は多いほうが良い、だが想定外の多さは予期していなかった、とゼルシアは唸った。
「ゼルシアー」
「飯は買ってきてやらないかな!」
「違う!聞きたいことがあるんだ」
「ん?なんだ」
カムイは寝ながらポッケを探る。そして、一つの封筒を取り出した。
「B,D って知ってる?」
「っな!」
ゼルシアは座っていた椅子をたおし、立った。驚愕の表情のままカムイの持つ封筒を見た。
ゼルシアの予想外の反応にびっくりしながら、差し出し主の名をを見せる。
B,D と小さく書かれている。
「どういうことだ?何故奴が?」
ブツブツ言いながらゼルシアは封筒を見た。
「で、開けたのか?」
「いや、まだ開けてない・・・誰かしらねぇもん」
「マジでしらねぇのか?」
ゼルシアが大丈夫か?というような顔でカムイを見た。
「はいはい!俺は世間知らずのバカだよ」
すねたのか、ゼルシアに背を向け窓から外を見た。ゼルシアはため息を一つする。
「B,D ってのはブルー・デビルの略だよ、でそのブルー・デビルってのは、闇の世界では恐れられている奴なんだ、奴は一年も闇市の賞金がかかってるんだ。」
「普通じゃ、ないのか?一年くらい」
「それは、表の話し裏ではそいつの首さえ持ってきたらいいんだ。わかるか?生け捕りじゃないわけだ。殺したっていいんだ、そしてこれが1番の注目点だろう・・・賞金ってのが、とんでもなくありえない額なわけだ。あたり前だろうな、そこに賞金かけられてる奴は法では裁けない奴ばかりなわけだ、全員が悪い奴ばかりじゃない、まぁ大半が闇市の敵だ、で殆どの奴は一週間したりしたら、消えるんだ賞金のかかる奴がかなり入れ変わる中、一人だけ生き残ってるのが、ブルー・デビルさ」
ゼルシアは解説をしながら、椅子に座った。
「有名人からの手紙なわけか・・・」
「そうなんだよなぁ〜、間違って入ってたに、2000ゴールド」
ゼルシアは財布を取り出し2000ゴールドをカムイのベッドの上にほうり投げた。むぅ、と不服そうな顔をしながらカムイはゼルシアを見る。
「俺は・・・この封筒は俺あてに・・・10ゴールド」
「ちょ!おまえ!きたね」
ゼルシアの制止を振り切り封筒を乱暴に開ける。
中には一枚の便せんのみだ。静寂が部屋を支配した。中の便せんをひろげる。そして上から読み上げる。
「カムイ=レイブン様へ 前とかわりなく元気にくらしていると思います。兄としては―――へ?」
カムイの表情が固まり言葉が止まる。
「カムイ、ちょっと見せろ」
カムイから無理矢理手紙を取り黙読する。
カムイ=レイブン様へ 前とかわりなく元気にくらしていると思います。兄としては故郷で静かにくらして欲しかったのですが―――少ししたらお前にあいに行くつもりです B,Dより、という弟に宛てた普通の内容の手紙だった。
ゼルシアの声が恐ばる。
「お前のアニキは本当にB,Dなわけか?」
「しらねぇよ・・・」
カムイは無表情のままで答えた。
「知らないか、そんなわけないだろ カムイ=レイブン」
突然壁際から声が放たれた。
「な!誰だ!」
ゼルシアはダガーを構え壁にもたれかかるフードの男を見る。カムイのほうへ静かに近く。威圧を感じる、声を出すことも動くこともできない。
「ゼルシア=J=ルソー 兄弟で話したいんだ」
殺気がゼルシアに向けられる。ゼルシアはまるで、蛇に睨まれたカエルのように口をぱくぱくさせた。
「・・わ・・かった・・・」
絞り出すように答えるとゼルシアは部屋をでた。
蒼い悪魔は横目でゼルシアが部屋から出ていくのを見送るとカムイに目を向けた。
「久しぶりだな、カムイ」
「・・・」
「手紙に書いたように、お前には故郷で静かに過ごしてほしかったがな」
「本当に・・兄貴なのか?カイム=レイブンなのか?」
「あぁ、お前の兄だよ」
そう言いながらフードを取る。フードの中から現れたのは青い長髪、どこか昔を彷彿させる顔だった。紛れも無い、カイム=レイブン 兄貴だ
「はっきりしただろ?」
「あぁ」
「俺には時間がない、だから単刀直入に言う、故郷に帰れカムイ」
無情な宣告だった。レイリを助けることもなく、故郷に帰ることなど許されない。そんな思いを両断するような一言だ。
「無理な話しだ・・・」
「人を殺すことも出来ないあまちゃんが、これから生き残って行けると思ってるのか?」
「・・・・俺は人を殺さず生き残ってやる」
蒼い悪魔に苦し紛れの一言を言い放つ。蒼い悪魔はククク、と笑った。まるで嘲笑うかのように。
「人を殺すさ、お前は俺の弟だからな」
蒼い悪魔は無慈悲に言い放った。蒼い悪魔は言葉を紡ぐ。
「そしてお前は苦しむ、人を殺したことを悔いる、死んだ者を哀れむ、そうしてお前は崩壊していく―――それでもお前は盤上を駆け巡ることが出来るのか?」
まるで獲物を追い詰めるような言い方だ。
「俺は兄貴のように人を殺さない!」
決意のようなあがきのような、どちらとも取れない瞳で無慈悲な瞳を見つめる。蒼い悪魔は目を閉じカムイに背を向ける。
「あがいてみろ・・・それからお前には仲間が必要だ、仲間を集め立ち向かえ、お前は俺のような心を持ってないからな、お前には支えが必要だ、わかったな?」
蒼い悪魔はどこか保護者ぶった一言をのこし消えた。
「んだよ・・・」
窓を通して夜の古都を見た。静寂と闇に支配された古都の中で闇に抗うかのような小さな炎が灯った。
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